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子どもたちの夢の未来を応援 100種類以上の職業体験イベント

2016年3月15日

髙田亮氏 イベント仕事人に聞く
夢★らくざプロジェクト
代表 髙田亮氏
「夢★らくざプロジェクト」(2011年設立)は、子どもたちを対象とした職業体験イベントを企画・運営している団体です。体験できる職業は12ジャンル、100種類以上。様々な分野で活躍するプロの指導のもと、体験を通してその仕事の魅力に迫るワークショップ形式のイベントです。商業施設や店舗、学校、各種イベントスペースなどでの出張イベントを開催しているほか、行政や企業とのコラボイベントも多数。

大きくなったら何になりたい? ―― 子どもの頃に周囲の大人たちからそう聞かれ、また自問した経験は誰にでもあるのではないでしょうか。当時を振り返ってみると、その時々で答えが変わり、自分が“なりたいもの”はいつもあいまいだったような気がします。

そもそも、世の中にはどのような仕事があるのでしょうか?大人たちはどのように働いているのでしょうか? いろいろな職業について知り、さらに体験してみることで未来の自分が見えてきます。

今回は、次代を担う子どもたちに様々な職業体験の機会を提供している、夢★らくざプロジェクト代表の髙田亮さんに、同プロジェクトの活動内容と取り組みに対する思いをお聞きしました。

─夢★らくざプロジェクトの活動内容について教えてください。

子ども向け職業体験プログラムの企画・制作および運営を行っています。第一線で活躍するその道のプロに講師をお願いし、ワークショップ形式の職業体験イベントを実施しています。

自分たちで会場をおさえ、参加者を募集して行う自主イベントのほか、企業などから依頼されて実施する出張型のイベントも行っています。例えば、商業施設からの依頼で、来店するお客様向けに開催するイベントなどがそれにあたります。

たくさんの魅力的な仕事があることを伝えたい

─このプロジェクトを始めたきっかけは何ですか?

2011年4月に子どもたちのために何かできないかと考え、職業体験のイベントを企画しました。現在の活動につながる第一弾のイベントと言えます。一ヶ月ほどの準備期間で企画していたのですが、最初は開催場所の地元の商店街にチラシ配布やポスター掲出をお願いして参加者を集めようと考えていました。しかし、なかなかお店から色よい返事をいただくことができず、また参加者も思ったように集まりませんでした。
 さすがにまずいなと思い、ネットのイベント告知サイトに開催のお知らせを出したところ、これが効果がありました。定員数を上回る参加申し込みが来て、イベントも盛況でした。

当初は単発のイベントのつもりでしたが、仕事を体験する子どもたちの生き生きとした表情を見て、また、「次も参加したいです」という感想を聞いて、これは続けていくべき活動なんじゃないかとその時に強く思ったんです。その後、協力してくださる方も次第に増えていき、いまに至っています。子どもたちのためにと考え実施したイベントで、逆に子どもたちに背中を押されたというのが、私たちのプロジェクトの始まりです。

─このプロジェクトの目的、活動に対する思いを教えてください。

「世の中にはたくさんの魅力的な仕事があることを知ってほしい」「そうした仕事を知ることで、将来の自分の可能性を広げてほしい」との思いで活動しています。ここでの体験が、将来、職業を選択する際の納得感、そして自分が選んだ仕事に対する誇りや責任感につながり、世の中にある様々な職業を尊重する心を育むと考えています。

─どんな体験プログラムがありますか。また運営はどのようにされていますか?

大きく分けると「おしごとなりきり道場」と「おしごと弟子入り道場」があり、協力スタッフ、登録ボランティアの方と運営しています。

「おしごとなりきり道場」は、その道で活躍するプロから仕事の魅力や体験談などを聞き、ワークショップを通して職業体験をするプログラムです。ファッション、ものづくり、食、マスコミ、エンターテインメントなど全部で12ジャンル、合計100種類以上あります。畳、屏風、和菓子、江戸飾り結びといった日本の伝統文化は「和しごと」と呼び、それに特化した「和しごとなりきり道場」も行っています。いずれも和しごとの職人技にふれられる貴重な体験です。これらはおもに小学生対象ですが、未就学児など小さな子ども向けの「プレおしごと道場」もあります。
企業、会場との連携も進めており、「おしごとなりきり道場」を開催していただける、学校や商業施設、イベントスペースなどを募集しています。

「おしごと弟子入り道場」は、様々なプロの仕事場を訪問して、弟子入りする体験プログラムです。今までに、左官職人、カーディーラー、万華鏡作家、チョークアーティスト、農家などにご協力いただいています。

<これまでに実施した職業の例>
●ファッション:ジュエリーコーディネーター/帽子職人/スタイリスト/バッグデザイナー/アパレルショップスタッフ/ニット職人/めがね職人/ジュエリーデザイナー/ファッションデザイナー ●ものづくり:革職人/ファスナー職人/人形作家/彫刻家/陶芸家/手芸作家/時計職人/キャンドルアーティスト/フラワーデザイナー/フラワーアクセサリー作家/雑貨デザイナー/おもちゃ職人 ●デザインとアート:印刷会社/アートディレクター/グラフィックデザイナー/チョークアーティスト/カメラマン/イラストレーター ●ビューティーと癒し:ヨガインストラクター/カラーセラピスト/エステティシャン/漢方スタイリスト/リフレクソロジスト/フレグランスデザイナー/ボディジュエルアーティスト/美容師/メイクアップアーティスト/ネイリスト/アロマセラピスト ●建築とインテリア:植木職人/ペンキ職人/家具職人/建築家/畳職人/インテリアコーディネーター ●食:料理研究家/野菜ソムリエ/栄養士/ケーキデコレーター ●マスコミ:脚本家/コピーライター/テレビ番組制作/ライター/アナウンサー/ラジオディレクター/編集者 ●エンターテインメント:ダンサー/舞台俳優/マジシャン/ミュージシャン/大道芸人/バルーンアーティスト/テレビ俳優 ●ビジネス:秘書/税理士/ホームページ企画/経営コンサルタント/ファイナンシャルプランナー ●旅行:観光大使/キャビンアテンダント/ホテルスタッフ ●行政とサービス:保健室の先生/カイロプラクター/薬剤師/文部科学省職員/助産師/司会者/ウェディングプランナー/介護士/消防士 ●スポーツ:チアリーダー/スピードスケート選手/スポーツトレーナー ●日本の伝統(和しごと):和菓子職人/江戸飾り結び職人/屏風職人/つまみ細工職人/仏像修復師/江戸手描提灯職人/江戸すだれ職人/講談師/日本舞踊家/女将/仲居/板前/香道家/鎌倉彫職人/囲碁棋士/長唄奏者/能楽師/将棋棋士/落語家/仏師/日本画家/江戸刷毛職人/絵馬師/茶道家/華道家/書家/印章彫刻家/俳人

様々な職業のプロフェッショナルが仕事の魅力を伝える体験型イベント

会場や企業とのコラボでさらに魅力的なイベントに

─これまでに開催したイベントについて教えてください。

「おしごとなりきり道場」は、2016年3月までに主催イベントとしては計25回開催しました。109種類の職業に対して延べ8000人以上の方に参加していただきました。会場は、大型イベント施設からホール、学校、お寺まで多岐にわたっています。経済産業省、文部科学省、東京都、百貨店(新宿伊勢丹・銀座三越)、大型商業施設(ららぽーと)ほか、行政や企業とのコラボも数多く手がけています。

「おしごと弟子入り道場」は、9種類の仕事で計15回開催。延べ参加人数は265人です。カーディーラー(東京トヨペット)の回は、他のプログラムで女子が8割を占めるなか、男子に人気でしたね。東京トヨペットさんの新入社員研修の一環として、子どもたちに仕事のレクチャーを行うという仕立てで実施。子どもたちはリアルな体験が、企業側は研修内容の成果の確認ができました。

ちょっと変わったところでは、「おしごとおこし道場」という起業体験プログラムを、東京スター銀行さんの協賛で実施しました。銀行の役割や社会の仕組みを学びながら「事業計画~商品づくり~販売」と一連の起業プロセスを体験できる内容を用意。事業計画書の作成から、銀行との融資交渉、材料仕入れ・商品製作、販売、事業報告まで体験するという一日がかりの本格的なプログラムでした。

─イベントを開催する会場・企業側のメリットは何ですか?

イベント参加者に足を運んでもらえるのはもちろん、親世代に対する施設・企業の認知度がアップします。また、短期的な集客や販売促進のみならず、子どもたちの成長に対する貢献活動は、施設や企業の長期的なファン作りにもつながると考えています。従業員がイベントに関わることで人材の活性化も期待できますね。

参加者アンケートでは、施設・会場に対して、こどもの成長に貢献していると思う…46%、親近感がわく…36%、別の機会にまた訪れたい…45%、といった評価が寄せられています。イベントの実施企業に対しては、親近感が高まった…79%、商品やサービスのホームページを見た…49%、購入・利用した…47%など、よい印象を残すとともに、購買行動に結び付くことが多いといったデータが得られています。

─体験イベントを開催してほしい施設側は何をすればいいですか?

まずは、会場、日程、子どもたちに体験してほしい仕事などをお知らせください。体験内容は、何かものづくりできるものがいい、体を動かすものがいいといったイメージでも結構です。会場や目的に合った体験内容の提案をさせていただきます。講師や材料の手配はもちろん、当日の運営もお受けできます。講師のスケジュール調整を考慮すると、実施1~2ヶ月前にはお知らせください。

所要時間はひとつの体験で60分前後です。1日に何回か時間帯を設けて行ってもいいですし、複数のコーナーを用意して、いろいろな仕事を体験できるというのもいいと思います。参加人数は1回の体験で10~15人程度を目安にしています。基本的には会場をご用意いただければ、イベントの企画や運営は私たちにおまかせいただけます。

参加者の募集については、施設側または私たち、あるいは両者で行うことができます。大規模な商業施設の場合には、来店したお客様に対して当日参加受付するという方法もあります。

イベントの構想段階でも構いませんので、お気軽にご相談ください。過去の実施事例などを踏まえて丁寧にアドバイスさせていただきます。

いつでも職業体験ができる、そんな環境を作りたい

─あらためて、このプロジェクトの特徴、魅力は何ですか?

私たちのプロジェクトは、ただ単に楽しいだけのプログラムではありません。プロの話を聞き、仕事体験をすることで、「その仕事を選んだ理由は何か?」「魅力は何か?」「やりがいは何か?」といった、働く人のマインドにふれることができます。また、知識のインプットとワークショップによるアウトプットという両面からのアプローチにより、夢を描く力、そしてその夢を実現するための“基礎力”を身につけることができます。

子どもたちにとっては、ハードよりもソフトの部分が重要なんだと思っています。例えば、ものづくりの仕事においては、完成物のできばえよりはそこに至る過程を重視しています。ここでは、失敗することも大切な経験です。実際に体験してみて、自分にピッタリだとか、ちょっと合わないかも…と気付くこともいいんだろうと思います。いろいろな仕事にチャレンジして、その中から自分の将来の夢を見つけてもらえればと考えています。

このプロジェクトを通して、子どもたちの表情が変わる瞬間に立ち会えること、体験後に寄せられたコメントから参加者の成長を実感できることが私たちの励みになっています。

夢を描く力とその夢を実現するための“基礎力”を身につける

─最後に今後の展望をお聞かせください。

空き店舗の有効活用や商店街の活性化、例えば、子ども版「チャレンジショップ」などもやってみたいですね。農業をはじめ産地での体験と物販を組み合わせたイベントなども面白そうです。これからも職業体験のバリエーションをもっと増やしていきたいですね。

また、企業が持つ様々な資源を利用した体験プログラムの開発、社員とその家族が集まる、企業のファミリーデー向けイベントの企画・提供などにも力を入れていきたいです。

子どもたちが“未来の自分”を見つけられるように、いつでも、どこでも、だれでも、気軽に仕事が体験できる、そんな環境を作っていきたいと考えています。