参加者に驚きと感動の体験を! 記憶に残る社内イベントの作り方

ワーク・ライフ・バランス、働き方改革、ダイバーシティ、テレワーク…。最近は、これらの言葉を聞かない日はないほど、働き方に対する社会の関心・問題意識が高まっています。
2017年2月からは、月末の金曜日は仕事を早く切り上げて余暇を楽しもうという「プレミアムフライデー」も始まりました。こちらは、個人消費の喚起と働き方改革推進の一石二鳥を狙った官民連携のキャンペーン。定着するかどうかの議論はあるものの、その取り組みは大きな話題となりました。

企業と働く人との関係は、メンタルヘルスの領域からもよく取り上げられています。今や、誰もが働きやすい環境の整備や多様性の受容は、ビジネスの場において必要不可欠なものとなってきました。

働きやすい環境 ―― これを支えるもののひとつが社内のコミュニケーションです。互いを知り、尊重し合うことで安心して働けるほか、風通しのよい社風は企業に活力を与えてくれます。

社内表彰イベント

コミュニケーションの活性化、そのきっかけとなるのが社内イベントです。違う部署のメンバー、離れて働く仲間が顔を合わせるリアルなイベント。そこに会話が生まれ、組織の一体感にもつながっていきます。

企業が行うイベントには、入社式、キックオフミーティング、社内表彰式、周年記念行事、新商品発表会など様々なものがありますが、おもに従業員を対象とした社内イベント(インナーイベント)、外部のお客様や関係者に向けた社外イベント(アウターイベント)のふたつに大きく分けることができます。

今回は社内イベントに焦点を当て、参加者の記憶に残るイベントの作り方を探っていきます。

社内:インナーイベントの例

  • 入社式  … 新年度が始まる4月1日に行うのが一般的。3月に行う企業もある。
  • 表彰イベント … 業績表彰、永年勤続表彰、業務改善表彰、社内コンテストなど。
  • キックオフミーティング … 年度初めやプロジェクトの開始時などに実施する。
  • 社内発表会 … 研究成果の発表、事業コンペ発表、社内コンクールほか。
  • ファミリーデー … 従業員の家族を職場に招き、相互の理解を深めるイベント。
  • 忘年会・新年会 … 忘年会はイヤーエンドパーティーとしてパーティー形式で行う企業も。
  • 周年イベント … 5年・10年・20年…企業の創立記念行事。社内外への感謝の会。
  • 会議・研修 … 社員総会、リーダー会議、集合研修(Off-JT)、研修旅行など。
  • 社内運動会・スポーツ大会 … 屋内で数千人規模の運動会ができる会場もある。
  • 社内旅行 … 従業員みんなで…というのは今は昔。部署単位など小さなグループが主流。

社外:アウターイベントの例

  • 賀詞交換会 … 年明けに関係者が集まり新年のあいさつを交わすイベント。
  • 株主総会 … 企業の一大行事。上場企業では6月に実施するところが多い。
  • 顧客イベント … 顧客感謝イベント、ファンデーなど。
  • 発表会 … 新商品・新サービスの発表会、プレス発表会、IRイベントなど。
  • 展示会・商談会 … 専門展示会出展、プライベートショー開催。
  • 採用活動 … 会社説明会、合同説明会出展、面接・試験、内定式、内定者研修など。

社内イベントの担当者になったら…

社内イベントの担当者に任命されたら…。企業イベントの場合は社内でチームを作って取り組むことがほとんどです。それぞれ本来業務を抱えての準備作業となるため、社内メンバーで行うことと、アウトソーシングすることを切り分け、効率よく進める必要があります。

それでは具体的にどのように進め、何に注意したらよいのでしょうか。企業のイベントを数多く手がける、株式会社博展(東京都中央区・東証グロース上場)の大賀さんに、社内イベントの作り方についてお聞きしました。

―― 最初に博展さんの事業内容を教えてください

私たち博展は、プロモーションのためのイベント、商談会をはじめとするビジネスマッチングイベント、各種展示会の出展支援など、企業や団体の様々なコミュニケーション活動をサポートする会社です。企画のご提案から、デザイン、制作、施工、当日の運営まで、すべておまかせいただくことができます。業種やエリアの縛りはとくにありません。国内はもちろん、海外のイベントにも対応しています。

株式会社博展 第3営業本部 大賀彩野さん

―― 社内イベントのご依頼もありますか?

はい、社内イベントのご依頼もよくいただきます。私の場合には、ITやテクノロジー系のお客様が多いのですが、表彰イベントやキックオフイベントなど様々な社内イベントのお手伝いをしています。

外資系の企業様を中心にパーティーをサポートすることも多いです。プロジェクトのキックオフパーティーや、年末のイヤーエンドパーティーなどですね。100名から1000名まで規模もいろいろです。会場の選定から、企画の立案、ゲストのブッキング、ケータリング手配、当日の運営までワンストップで対応できます。社外向けのプロモーションイベントをサポートさせていただいたお客様から、社内イベントもよろしくと、お願いされることもよくあります。

最近は「ちょっと変わった会場でやりたいんだよね」というご要望も多く、ユニークベニューについては常にアンテナを張っています。

―― 準備はどれぐらい前にスタートしたらいいですか?

そうですね、毎年実施するイベントはみなさんも勝手がわかっていると思いますが、とくに初めてのイベントについては余裕を持ったスケジューリングをおすすめします。

私たちにご相談いただくタイミングとしては、開催日の半年前ぐらいのケースが多いと思います。急きょイベントが決まって、開催日まで残り3ヶ月といったこともたまにはありますよ。もちろん全力でご支援します(笑)。…とは言っても、ギリギリになると希望する会場が押さえられなかったり、十分な準備ができなかったりと、妥協しなくてはいけない点が出てきますから注意してください。いずれにしても早めに動くのがいいですね。計画段階でも構いませんので、まずはご相談いただければと思います。

やりっぱなしはNG。「次につなげる」イベントを作る

―― 博展さんの強みは何ですか?

そうですね、私たちの強みというか特徴は、デザイン会社でも、広告代理店でも、施工会社でもないということですね。つまり、それらの機能をすべて含んだ総合イベント会社ですので、クオリティはもちろんですが、お客様のどんな角度からのご要望にもお応えすることができます。

それと会社の規模感ですね。いま社員は300名弱なんですが、大きくもなく小さくもなくちょうどいいんです。どういうことかと言いますと、社内には様々な分野のプロがいますが、これぐらいの規模ですとみんなの顔が覚えられます。この件は誰に相談すればいいのかがすぐにわかるんですよ。結果として、お客様への対応が、的確にそしてスピーディーになるのでとても助かっています。

これは演出の話なんですが、最近はデジタルを活用したものが増えてきています。例えば、参加者がスマホから投稿したコメントが会場のスクリーンにリアルタイムで映し出されるとか。観るだけの映像から、インタラクティブな、参加できる映像に変わるわけですよね。社内にデジタルの専門チームがあって、彼らに私からリクエストを出してカスタマイズしてもらったりなど、臨機応変に動ける組織というのも強みのひとつだと思います。

もうひとつは「次につなげる」ということ。イベントというと、“終わったらそれで終了。おつかれさま”ということになりがちなんですけど、私たちに“やりっぱなし”はありません。イベントを一過性のもので終わらせず、課題を抽出して次につなげるということを全メンバーが強く意識しています。これはお客様にとっても、私たちにとっても大切なことだと思っています。

企業の周年記念式典(博展さんによるイベント例)

―― 印象に残ったイベントは?

そうですね、たくさんありますが…。そう、IT企業さんの年末パーティーをディスコチックな仕立てにしたことがあります。出席者に80年代に若い頃を過ごしたおじさま年代の方が多くて、ちょうど80'sリバイバルもあったので、思い切って当時のディスコ風な演出にしました。DJに80年代ミュージックと今の音楽をミックスして流してもらったり、スクリーンに当時の映像と社史をからめて映したり。この演出はとても喜んでいただけましたね。あの頃はこんなことがあったとか、この曲が好きだったとか、みなさん話がはずんでいました。仮装タイムも、おじさまたちががんばってくださり盛り上がりました!

別のお客様ですが、社員のお子さんたちも参加されるパーティーということで、会場にちょっとしたクリスマス工作ができるコーナーを設置しました。お子さんたちには仮想のお金を使ってもらい、内定者や新人社員のみなさんがその対応を行いました。こんな手作り感のあるイベントも温かみがあっていいですね。

―― イベントの準備はどのようなステップで進行しますか?

すべてはご相談をいただくところから始まりますが、このタイミングはお客様によってまちまちです。まだ漠然としている状態、社内決裁に向けて費用を算出するタイミング、ほぼ実施内容が固まっている段階…。そのいずれでも対応できますが、企画段階から関わらせていただくといいものができると思います。

ご依頼いただいたあとは、博展の窓口担当者がプロジェクトのマネージャーとなり、社内外のメンバーを束ねていきます。イベントをまるごとおまかせいただく場合は、クリエイティブスタッフ、制作施工スタッフ、エンジニア、事務局担当など様々な専門スタッフがこれに加わることになります。

私は窓口担当として、お客様のご担当者様と共にイベント当日まで走ります! とにかくいいイベントになるよう一緒に企画を考えたり、社内決裁用の資料作成をお手伝いしたり…。そして、イベントが無事終わったら反省会、振り返り。お客様から「次もよろしくね」とお声がけいただけると、やっぱりうれしいですね。

成功の秘訣はゴールのイメージを描くこと

―― イベント担当者が気を付けることはありますか?

お客様のご担当者様は、総務部の方、福利厚生に関連するイベントでは人事部の方、プロジェクト担当者、あるいは部署横断の混成チームなど、イベントの性格によって様々です。このようなみなさんと私たちでひとつのチームを作ってイベントの準備を行っていきます。

イベントの準備チームは、場合によっては大人数になりますが、そういった時に困ったことも出てきます。それぞれのお立場からいろいろな意見が出て、それ自体はいいことですが、誰が意思決定をするのかが不明確になってしまうことがあるんです。これは時間のロスになりますから、誰が決めるのか、最終決裁までどんな手順を踏むのかを最初に決めておいてください。それだけでもずいぶんとスムーズになります。

トップへのプレゼンなど社内決裁プロセスが大変なのは私もホントによくわかります。イベント作りについては誠心誠意サポートします。私たちはイベントのプロとはいえ、社外のスタッフですから、みなさんにしかできない「選ぶ」「判断する」「決める」ことを役割としてぜひお願いしたいと思います。

―― そのほかには?

これは毎年開催しているイベントに多いのですが、「お金をかけてでも盛大豪華にしたい」、逆に「手作り感のあるアットホームなものにしたい」、みなさんの気持ちが、このふたつの間で行ったり来たりすることがよくあります。すごくよくわかるんですよね。どちらもよいところがありますから。今年はアットホームに、今年は節目の年だから豪華になど、最初にイベントのイメージを決めるといいですね。

みなさんと一緒に記憶に残るイベントを作ります

―― イベントを成功させるためのポイントは?

はい。イベントの成否を決めるのは、何といっても「ゴールの設定」です。何のためにイベントを実施するのか、イベントを実施した結果どうなりたいのか、これをしっかりと設定しておくことです。目的、目標と言ってもいいと思いますが、これがないとただお金をかけてみんなで集まっただけで終わってしまいます。

…とは言っても、社内イベントの場合はゴールの設定がちょっと難しいですよね。外部向けのイベントの場合は、どれぐらい集客できたとか、どれぐらい媒体に取り上げられたとか、数字として見えやすいのですが、社内イベントの場合は数字だけでは測れないところがありますから。ただ、メンバー間のコミュニケーションを活発にしたい、とか、肩書抜きにみんなで楽しめる会にしたいとか、そんなことでもよいので、イベントを実施した時のイメージをしっかりと描いておくことが大切なんです。

そしてもうひとつ欠かせないのがイベントのコンセプトです。キャッチフレーズといってもいいですね。これはまずみなさんで考えてみてください。もちろん最初はカッコイイ言葉でなくても大丈夫です。みなさんで議論し、コンセプトを設定してみることで、イベントの仕立て方が見えてくるからです。私たちも、みなさんの思いを形にすべく、様々なアイディアをご提供します。一緒にがんばりましょう!

“PRIDE”を評価する博展さんのイベント

―― 博展さんにも社内イベントがあると聞きました

はい。博展自身にも社内イベントがあるんですよ。「HAKUTEN PRIDE」というイベントです。これは、従業員の仕事に対するプライドや想いを伝えていくためのもので、仕事の規模や成果、テクニックではなく、個々の“PRIDE”を評価する表彰イベントです。

博展さんの社内表彰イベント「HAKUTEN PRIDE」

当日は、事前審査で選ばれたメンバーがステージ上でプレゼンテーションを行い、参加者投票で順位を決めます。やはりこれは盛り上がりますね。イベントの参加人数はおよそ200人。2017年は6月下旬に東京都内のホールで実施しました。

普段はお客様のイベントの裏方として働きますが、この日だけは私たちが主役です。なんだかちょっと不思議な気分ですね。そして、自分たちが当事者になってみることで、いろいろと見えてくることがあります。それらもお客様のイベントに活かしていけたらなと思っています。

株式会社博展

展示会出展支援、カンファレンス運営、イベントプロモーションの計画・実施、商空間のデザインほか