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初めての展示会出展が決定 ブースの企画・設営どうする?

2015年6月18日

中村匠一氏 イベント仕事人に聞く
株式会社ステップ 代表取締役 中村匠一氏  展示会装飾・ブース設営を手がける株式会社ステップ(千葉県市川市)。展示会用ブースは、同社オリジナルの「匠(たくみ)シリーズ」をベースに、要望に応じて各種オプションを組み合わせることにより、低予算・高品質・最速を追及。1987年の創業以来、およそ30年にわたって様々な展示会イベントに携わっています。

毎日のようにどこかで開催されている展示会。顧客とのコミュニケーションの場として、潜在顧客との出会いの場として、ビジネスの世界では重要なイベントのひとつになっています。
 展示会に出展する際に大切なことは、出展目的を明確にしておくこと、そしてゴール(目標)を設定することです。これらを達成するための手段・ツールのひとつが自社ブースとなります。今回は、初めて展示会に出展する方をおもな対象に、展示ブースの企画・設営に関するヒントやノウハウを、株式会社ステップの中村社長にお聞きしました。

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─まずはステップさんの事業内容を教えてください。

展示会を中心に、各種イベント、キャンペーンなどのブースの企画から、設計・デザイン・施工・撤去までトータルに行っています。イベントスタッフの手配や当日の運営もおまかせいただけます。出展する展示会が決まっている場合はもちろん、「どの展示会に出展したらよいか」といったところからもご提案が可能です。訴求したい製品や出展目的によっては、同業他社が集まる総合展示会に限らず、プライベートショーやその他の施策も含めてご提案させていただきます。まずはお気軽にご相談ください。

展示会の変遷 ―フェスティバルからトレードショーへ

─ステップさんが創業した1987年は、日本経済が、いわゆる「バブル景気」に突入していく時期にあたると思いますが、当時から現在までの展示会の状況変化について教えてください。

出展者の「求めるもの」が大きく変わりました。バブル期の展示会は、お祭り的な色合いが濃く、派手に・豪華に・大きくといった傾向がありました。それがそのままブースデザインの基準でした。とにかく他社より目立つことが重要なんです。それに意味があろうがなかろうがです。展示会に限らず日本中がそんな気分だったのですが、今にして思えば、過剰な装飾・資材・労力・費用…だったのかもしれませんね。

バブルがはじけて、さらにはリーマンショック以降、我々の業界は過当競争に突入しました。限られた数の出展者に多くのブース業者がひしめき、価格競争が激しくなる状況です。出展機会も予算規模も縮小するなかで、出展サイドは「実(じつ)」を取るようになりました。まあ当たり前のことなんですが、費用に見合う効果が得られるのか、つまり「費用対効果」が厳しく問われるようになってきたんです。

環境問題・エコの波もやって来ました。以前はブース設営に多くの木材、とくに輸入材を使用していました。 外国で伐採した木材でブースを作り、イベントで使うのはたった数日。展示会はスクラップ&ビルド方式ですから、終わってしまえばすべてゴミです。そのゴミを燃やせばCO2が発生…という悪循環ですね。CSR(企業の社会的責任)を意識する企業の増加により、リユースなどゴミを減らす動きもありますが、まだ道半ばといった感じです。これは私たち業界としても考えていかなくてはならない問題です。

─来場者側の変化も何かありますか?

来場者の意識も変わってきましたね。お祭りに参加するような浮ついた感じはなくなりました。来場目的が、業界の動向を探る、ビジネスの種・商材を探す、短時間でなるべくたくさんのヒントをみつけるといった、堅実なものに集約されてきたようです。“お祭り”ではなく、本来のトレードショー・取引の場としての意味合いが強くなってきました。展示とセミナーのセット開催が増加し、セミナー目当ての来場者も増えています。

施行例 第1回国際ドローン展(2015年・幕張メッセ) PRODRONE様ブース

出展者の実務と段取り。ブース会社には早めに接触しよう

─ブースの企画や制作はいつスタートしたらよいのでしょうか?

出展が決まったら、遅くとも開催日の2~3ヶ月前にはブース設営会社にアクセスしてください。ブース規模が大きい場合やカスタマイズが多い場合には、さらにプラス1ヶ月というように、なるべく早く取り掛かるのがよいでしょう。総合展示会では、開催の1~2ヶ月前に、装飾・施工届けなどを主催事務局に提出しなくてはなりません。ブース業者名も記入する必要がありますから早めに動きましょう。

かつては電話・FAX・バイク便が一般的だった情報伝達手段が、インターネットの普及によってスピードアップしました。それに伴って、ブース設営にかけられる時間も短くなっており、さらに加速している感があります。会期直前になってご相談いただくというような極端なケースもありますが、万全な体制で当日を迎えるためには、やはり着手は早いに越したことはありません。

いよいよ開催間近。実際の会場での設営期間は展示会によって異なります。大型の展示物を据え付ける展示会などは1週間前から準備を始めることもありますが、通常は前2日程度、撤収は即日が一般的です。デモンストレーションやショーを行う場合には、ここで現場リハーサルを行うことになります。

目的にかなうブースづくり。予算枠を伝えてロスを減らす

─ブース設営会社に伝える情報、準備するものは?

まずは出展する展示会の概要を教えてください。小間(コマ)の広さと会場内の位置、レギュレーション(装飾物の高さ制限など、出展要綱に書かれた各種規制)などの基本情報ですね。これがデザインや費用に大きくかかわってきます。

展示する製品はもちろんのこと、私たちが最も重要だと考えているのが「目的」です。出展を通して何をしたいのか、何を目的とするのか、何をもって成功とするのか、といったことです。ここがあいまいだと、ただ単に出展しただけということになりかねませんし、そもそもブースの設計やデザインができません。

それから予算も大切です。出展者も設営会社もよいものを作りたい気持ちは同じですから、予算枠を教えていただけると実情に沿ったご提案がスピーディーに行えます。複数社から見積りを取ったりということは当然あるでしょうが、駆け引きに時間を取られすぎると全体のロスにつながりますから。
 出展要綱に、主催者側が用意したパッケージブース(装飾)の案内・価格が載っていると思いますが、これが最低限の目安になります。ただし、レンタル品のためカスタマイズはできませんので注意してください。

ステップでは、 「匠シリーズ」という1コマ15万円からの基本セットをご用意しています。これに、自由に選べる各種のオプションアイテムを組み合わせることで、機能的・効果的な空間に仕上げることができます。予算にも合わせやすいと思いますので参考にしてみてください。今までの経験を踏まえて、いろいろなアドバイスもできますのでご安心ください。

匠シリーズをベースとしたブースデザイン

値段や見栄えだけでなく、対応力など見えない部分も大切

─ブース設営会社の選定で注意すべきことは何ですか?

そうですね、値段や見た目だけで決めるのはちょっと危険だと思います。例えブースが安く仕上がったり、かっこよくできたとしても効果がなければマイナスです。出展費もけっこうかかりますし。やはりブースは効果があることが大切です。どれだけ安く出展できたかや、おしゃれ度を競うイベントではないですからね(笑)

今はネットでいくらでも情報が取れたりモノを買えたりする時代ですが、ブースは既製品をお求めいただく訳ではありませんから、お客様は図面とパース(完成予想図)、見積りなどで判断することになります。先ほども申し上げましたが、安さだけ、CGパースの見栄えだけにとらわれないようにしてください。

例えば、照明器具の種類や効果がきちんと練られているか、変更や修正などへの対応力はあるかといった、図面からは見えてこない部分も大切です。「なぜここは丸いのか」「なぜ赤いのか」という問いに対して、「なぜならば○○だからです」と理由をきちんと説明できる会社かどうかをチェックしてみてください。
 そういう意味でも電話やメールだけでなく、ブース会社とは実際に会って打ち合わせをすることをおすすめします。私たちも、よほど遠方でない限りは直接お客さまとお会いするようにしています。

展示会ブースも進化する。モノだけではない価値の提供へ

─最近の傾向と今後の展望についてお聞かせください。

展示会ブースは、いかに製品を魅力的・効果的に伝えるか、誘引力のあるスペースにするかというのがキモです。展示するモノ・装置・パネル・色・デザイン・音響・映像・照明・スタッフ・プレゼンテーション…などの組み合わせによってこれを実現します。
 最近の展示会では、映像はマストと言ってもよいでしょう。動かないものをただ並べる、説明パネルを掲げておくだけではだめです。動くもの・光るもの・音の出るものが当たり前になっています。

展示テーマで難しいのは、いわゆるコンテンツもの。ソフトウェアやサービスなど、形のないものを扱うケースですね。テーブルに端末を並べてタッチ&トライといったスタイルも新鮮味がありませんから。
 ちょっとチャレンジングな例ですが、かつて、 Web&モバイル系の展示会で、あえて無人・スタッフレスの企画をご提案し、実施したことがあります。ブースには大きなモニターと、目を引く1個のキャッチコピーのみ。パンフレットも手配りせず、脇に置いておくだけです。
 そもそも来場者全員にウケるというのは無理ですから、興味のある人をキャッチコピーで引き寄せ、モニターの映像を見てもらう。そこで気になった人には横に置いてあるパンフレットを持ち帰ってもらうというシンプルな仕立てです。スタッフがいると入りにくいってあるじゃないですか。それで考えた企画なんですが、とても反響があったようです。魅力的な仕掛けの無人ブース、意外にこういうのがこれから増えるんじゃないでしょうかね…。

たくさんのブースが並ぶ会場で、興味を持ってもらったり、触ってもらったりというのはそう簡単ではありません。社会全体がスマート化していく中で、タッチすれば動くとか、すぐに反応があるみたいな、言わばスマートフォンのような要素が展示会でも重要になってくる気がします。
 私たちはこれまで、おもにブースというモノ作りを行ってきたんですが、モノだけでなく、新しい価値をもっと提供できるように常に挑戦していきたいと思っています。