イベントコラム

ハードパンチャーしんのすけの大道芸人を呼んでみよう! 第3回:大道芸イベントのパターン

連載・ハードパンチャーしんのすけの大道芸人を呼んでみよう!

イベント仕事人に聞く 連載

有限会社にぢゅうまる企画

代表取締役 矢熊 進之助 さん

受験雑誌に掲載されていたピーター・フランクル氏(数学者・ジャグラー)のコラムに触発されてジャグリングを始める。東京大学進学後はジャグリングサークル「マラバリスタ」に所属しジャグリングを学ぶ。ジャグラーとしての活動を行いながら、研究者を目指し東京大学大学院博士過程へ進学。しかし、ジャグリングの魅力から逃れられず進路を変更し、2002年からプロジャグラーとしての活動を開始。東京都ヘブンアーティスト、KOTO街かどアーティスト。ジャグリングショー、ジャグリング講師の活動に加え、代表を務めるにぢゅうまる企画では、大道芸イベントの企画・運営を行っている。

大道芸イベントのパターン

前回は大道芸の種類を3つの実施形態に分類して紹介しました。
さて、イベントとして、それらをどのように活用できるでしょうか。
今回はイベントの形から、大道芸を紹介します。

1.イベントのアトラクションとしての大道芸
2.アトモスフィアとしての大道芸
3.体験イベント
4.フェスティバル形式
5.コンテスト形式

1.イベントのアトラクションとしての大道芸

大道芸の魅力のひとつに、「お客様との距離が近い」ということがあります。近距離で演じられる(見てもらえる)という物理的な側面もありますが、それだけに限りません。路上で不特定多数の人の興味を惹き、足を止めてもらい、盛り上げる。お客様と同じ生身の人間によるパフォーマンス。場所と時間を共有することで、心理的な距離を縮めることができるのが大道芸の特長です。

大道芸は、老若男女を問わず、観客に合わせてショーを実施することができます。ショーの場所に関しても、芸の種類にはよりますが、一般的に様々なスペースで展開可能です。

このように、大道芸は、イベント規模の大小に関わらず、パーティーや宴会の余興、学校行事や公共ホールなどで開催される鑑賞会の題材として、また、お祭りの“賑やかし”などに適しています。実際にこれら大道芸人の派遣先から、「今までこんなに盛り上がったことはありませんでした!」と喜びの声をいただくこともしばしばあります。

さらに、大道芸は様々な層にアプローチできることから、商業施設のステージイベントにもぴったりです。誰もが知るお笑い芸人や人気キャラクターのショーのように、ショー自体を目的とした来場者はそれほど多くはないかもしれません。しかし、お客様の足を止め、心をリラックスさせ、その場での楽しい時間を印象付けることができます。

2.アトモスフィアとしての大道芸

空間の演出に大道芸を活用することもできます。「アトモスフィア」とは、大気、空気、雰囲気のことで、ちょっとしたショー、雰囲気を盛り上げるための演出を指します。

例えば、商業施設の売り場に置いてあるマネキンが突然動き出したら…。クラウン(ピエロと言った方がわかりやすいでしょうか)が、入口でお客様を出迎えたり、店内を練り歩いて笑いを届けたら…。

たまたま出会った人たちに、サプライズを届けられるのが、「グリーティング」(会場内を移動しながら来場者とふれあうこと)や「ウォーキングアクト」(目を引く格好で会場内を歩き回ること)、「スタチュー」(その名の通り銅像になりきる芸)といったジャンルの大道芸です。

テーマパークに行くと、様々なキャラクターが園内を歩いていますよね。このようなアトモスフィアとしての大道芸は、言うなれば、会場を“テーマパーク”にして非日常空間をつくり出すツールとなるのです。それによって、お客様の来場体験の質が特別なものになります。

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3.体験イベント

大道芸は観るばかりが楽しみではありません。実際に体験してみることもできます。

ジャグリングやパントマイム、バルーン、マジックなどは、みなさんも一度は目にしたことがあると思います。これを「体験できる」というのは、好奇心をそそりますよね。難しいプロのパフォーマンスはさておき、初歩の技でしたら、年齢を問わず、ほとんどの方が習得できます。

例えば、弊社で毎月実施しているジャグリング体験イベントでは、参加者が会場いっぱいに広がり、午前中から午後遅くまでジャグリングを楽しんでいます。ファミリーで参加される方が多く、家族みんなで笑いながら、できたことを喜び合ったり、教え合ったりする姿は、運営している私たちをとても幸せな気持ちにしてくれます。

4.フェスティバル形式

これまで紹介した大道芸イベントは、それぞれお客様に大きな満足を提供することができますが、次は、より強力な大道芸イベントを取り上げます。それは「大道芸フェスティバル」です。様々な大道芸イベントの形式をミックスしたものです。

複数のショータイプの大道芸人をブッキングする、それだけでも厚みのあるイベント空間になります。しかし、ショータイプの違いだけですと、限られた空間が盛り上がるのみです。広い会場でしたら、アトモスフィアタイプも配することで、会場全体が祝祭的な空気に包まれるでしょう。

さらに、スペースに余裕があれば、体験型イベントを組み込むのもおすすめです。ショーを観たお客様が、実際にショーで行われていたパフォーマンスに挑戦することで、体験は立体的になり、印象が深くなります。

大道芸フェスティバルは、しばしば、まちづくりのコンテンツとして活用されています。いまやアジア最大の大道芸フェスティバルとも言われている「大道芸ワールドカップin静岡」は、毎年期間中に100万人を超える来場者があり、静岡市の観光資源のひとつになっています。

5.コンテスト形式

複数の大道芸人がショーを競い合うコンテスト形式も人気のコンテンツのひとつです。

勝負がかかると、人は燃えるもの。コンテストに参加する芸人はもちろんのこと、観客も芸人に感情移入し、応援するような気持ちで目の前で行われるショーに見入ることになります。そんな芸人と観客のコール&レスポンスは、日頃のショーではみられないようなドラマを生み出し、見応えのあるショー空間が生まれます。

実際に、弊社が約一年にわたって実施運営する、とある商業施設の大道芸コンテストでは、毎回楽しみにしてくださるお客様で開演前から席が埋まっていきます。

まとめ

最後に、大道芸の魅力とは何かとあらためて考えてみると、やはり「敷居の低さ」になるのだと思います。

お客様は、何気ない出会いをきっかけに、リラックスして気軽に楽しめます。そして、ここではまだ触れていませんが、予算的にも芸能人を呼ぶのと比べたら遥かに敷居が低いのです。それでいて、確かな効果が期待できます。

大道芸は、実施するイベントの内容や会場に合わせて様々な形にアレンジできます。ぜひ、笑顔あふれる空間づくりに大道芸をご検討ください!

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有限会社にぢゅうまる企画

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